インタビュー

スペシャルインタビュー

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子
ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子
橋本 真里子
代表取締役CEO

設立  :2016年1月21日
事業所 :〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-22-9 AD-O渋谷道玄坂4階
事業内容:受付システムの開発・販売、受付業務のコンサルティング
    (受付システム・受付方法において特許を取得)
 
 学生時代、周囲が型にはまった就職活動をするのを見て違和感を感じ、大学卒業後は就職せず、アルバイトをしながら様々な経験を積む。その後、派遣として企業の受付業務に従事し、派遣先との良縁もあって受付という仕事の楽しさを知る。
 その後様々な企業受付を約10年間経験し、そこで得た知識とスキルを活かして、ITを活用した受付の効率化を目指し起業を決意。2016年に自宅から一人で始めた事業は、徐々に仲間を増やして大きくなり、2017年1月にサービスを開始。今なお事業を拡大し、現在では約2000社との取引を行っている。

派遣先の受付業務がきっかけで、受付の楽しさを知り、「もっと受付の仕事を良くしたい」と起業するに至った橋本さん。その社会人のスタートがイマジンプラスでの就業なのだそうです。橋本さんとイマジンプラスとの出会いをお聞きしつつ、働くということについてインタビューさせていただきました。

イマジンプラスとの出会い

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:橋本さん、本日はよろしくお願いします。橋本さんは社会人のスタートが弊社からだそうですね?本当にありがたいことです。

橋本:そうなんです。私が就職活動の時は就職氷河期で、周囲がとにかく内定を取ることに必死になっていました。それが私にとっては違和感で、何がやりたい、というよりもとにかくどこかへ就職する。就活生も何がしたい、ではなく、有名企業のグループ会社など名前があるところへ行きたいという、「就職活動の成功」が、自分本位というよりも世間の定義にのっとっているなと感じてしまって、本気で就職活動ができませんでした。親には「就職活動できません」と言って、理解してもらって1年間は派遣やバイトをしていました。
 そうして1年間はいろいろなことをやってみて、安定した収入があることは大切なことだし、一つのことを極めることも大事だなと思い、親と約束していた1年間も終わったので、地に足をつけて仕事をしようと思いました。その頃は、まだ就職氷河期が続いていたので、いきなり正社員になるのは難しいと思って、派遣会社の求人を見ました。その中で自分がやりたいと思える仕事で、受付の業務は正社員よりも派遣採用のほうが求人が多く始めやすい、時間も決まっていて、ビジネススキルも身につけられるということで探しました。その時に、イマジンプラスさんの求人を見つけて応募しました。

笹川:その頃はまだ、オフィスが西新宿にあった時代ですね。本当にありがとうございます。

橋本:こちらこそありがとうございます。それで、登録させていただいて、無事にご縁があって…それが受付嬢のスタートですね。その派遣先の会社もとても良い会社で、仕事に対する意識が高くて、良い先輩方がたくさんいました。ここで受付を始めたから受付の仕事が好きになって、もっとこの仕事を極めたいと思えるようになりました。
 
笹川:会社が良かったというのもありますよね。同じ華やかな受付でも、意地悪な人がいたり、人間関係がうまくいかないと違いますよね。そういう意味では橋本さんは良いご縁があったと思いますね。

橋本:本当に恵まれていたと思います。環境もですが、先輩方も意識がすごく高かったので。自分たちの「受付」という仕事にプライドを持って、いかに良い受付にするかを考えてやられていた方々だったのでそれが良かったと思います。

笹川:この最初に働いた会社が良かったから、ここから受付でキャリアを積んでいこうと思ったのですか?

橋本:そうですね。受付の仕事って会社によって違うのだろうなと働きながら思っていたので、他の会社の受付も知りたいと思いだしました。それで、別の会社の受付を経験して、もっとキャリアの幅を広げようと思って転職しました。

世の中の受付をもっとよくしたい!

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:では、この頃から将来受付の仕事で起業しようと思ったのですか。

橋本:この時はまだ全く考えていなかったですね。総合受付のリーダーとして働いていた時に、はじめは現場の改善に必死で起業しようなんて全く考えなかったのですが、現場が落ち着いてきた時に「そろそろ次のキャリアを…」と考えだしました。もう10年近く受付をやっていたので、そのスキルを活かしてコンサルやマナー講師になる道もあるとは思ったのですが、「それって私じゃなくてもできるな」と感じました。キャリアは自分だけでつくるものではなくて、雇ってくれた会社や働くメンバー、家族がいて成り立っていると思うので、やはりそれは世の中に還元したいという思いがありました。
 そう考えると、コンサルとかではお役に立てる幅が狭い、であれば、もっと世の中の受付をよくできる方法はないかなと考えるようになりました。自分で受付をやりながら、顔を覚えているのに毎回手書きで受付表を書いてもらったり、名刺を2枚もらわなきゃいけなかったり、世の中は進化しているのに受付だけは取り残されているなと感じて。これってITの力を使えばもっと効率化できるのではないかと、1年ほど考え、サービスをつくろうと思いました。当時の上司にも起業するから将来的には辞めることを伝えて、1年間くらいかけて次のリーダー育成や引き継ぎをして、2016年に退職しました。

笹川:1年くらい準備も進めていたのですね。退職してからは、すぐサービスを立ち上げたのですか。

橋本:創業が2016年の1月で、退職したのが2016年の3月なので、3か月間は二足のわらじをはかせてもらいました。それも派遣の良いところだと思います。

笹川:副業も今ほどではないですけれど、少しずつ広まっていましたよね。

橋本:そうですね。受付の副業は前例がなかったと思うのですが、周りの人や上司に応援してもらえて。お給料をもらいながら起業の準備が進められたのはありがいですね。

30代前半はキャリアチェンジのタイミング

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:とても素敵なオフィスですが、起業してすぐにこの今のオフィスを借りたわけではないんですよね?

橋本:最初は自宅から1人で始めました。はじめは人に会いに行ったりすることが多かったので、日中は外出して、夜は自宅で仕事してという感じで資金調達と仲間集めをしていました。周りは4月に入社式だと盛り上がっていたのですが、私は「1人になった」という気持ちが強くて印象深かったです。

笹川:私が新規事業を始めたのが、33歳でした。北海道で働いていた時に東京の事業家にヘッドハンティングされたのですが、自分は新規事業をやらせてもらいたいという条件で入社したんです。最初は得意だった求人広告や採用をやらせてもらって、3年くらい経った時に新規事業をやらせてもらいました。オーナーは「金は出すが口は出さない」という方で完全に任せてくれましたね。

橋本:それはすごく良い方ですね。

笹川:そうして新規事業を始めたのが33歳だったので、今橋本さんが事業を始めたというのは、いい年ごろだったと思います。

橋本:ひとつのキャリアチェンジのタイミングだったとは思いますね。

笹川:33歳って若さと馬力もありますしね。30代前半ってチャレンジャーでいられる感じがします。

取次=おもてなしではない

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:33歳で自宅から始めて、どのようにして軌道に乗っていったのですか?

橋本:軌道に乗った感覚は、正直今もあるわけではないです。比較対象がないので、続けられているということは、順調なのかなと思っています。

笹川:本当にすばらしいことですよ。

橋本:軌道に乗ったなと思ったことは本当になくて、「何とかやれているな」という感覚ですね。

笹川:どこかオフィスを借りたのはいつ頃ですか?

橋本:2016年の7月くらいです。そこから資金調達のお金を持って、オフィスを借りて、ヒトとハコを作りました。そこでみんなで集まって、仕事をしていました。最初エンジニアは2名委託でお願いして正式リリースまで手伝ってもらっていたのですが、結果的にうちに入社してもらい、そのうちの一人が今のCTOです。周りを巻き込んでいった感じです。

笹川:イマジンプラスも以前は受付嬢をおいていたのですが、リーマンショックの後、2010年くらいに受付を無人化しました。それまでは必ず一人受付嬢がいましたね。スタッフの登録もありますし。今はWeb面談もあって来社する人も少なくなってはいます。こうしてどんどん無人化していく中で、受付の仕事がなくならないかなと考えたことはなかったのですか?

橋本:そうですね…縮小する傾向にはあるな、とは感じました。受付の仕事をずっと続けていくことは、年齢的な部分もありますし、難しいとは思っていましたね。とはいえ、ゼロになるかと言われるとそうではないと思っています。よく「受付嬢をなくすプロダクトですよね?」と言われますが、実はそうではありません。私たち受付は、お茶出しとかご案内とか、会議室の調整とか、人にしかできない仕事をするためにいるのであって、取次は人がやらなくてもいい仕事だと思っています。業務をすみわけすることで、より受付の人は人にしかできない仕事にコミットできますから。

笹川:確かに、受付でパネルを操作してパッと入ってきて、そのあとのご案内やお茶出し、次の準備というところは人の手でやるほうが効率が良いですよね。

橋本:取次=おもてなしではないので。おもてなしはお茶を給茶するとか、いらっしゃいませとお出迎えをするということなので、取次はシステムになっても問題ない、むしろ記録が残せるし、効率が良いと思っています。

「働く」ということ

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:それでは、橋本さんにとって働くということは?

橋本:何でしょう…私にとって働くということは、「豊かにすること」だと思っています。もちろん、お金を稼ぐこともとても大事だとは思いますけれど。そもそも始めたばかりの頃は、自分が起業するとは思っていなくて、早く結婚して専業主婦になりたいと思っていたんです。ですが、そうすると自分の選択肢が乏しくなってしまう。自分が一生懸命働いて仕事をしていれば、それでお金を稼げていれば、自分のカードが増えるわけですよね。たとえ結婚しても、自分にスキルがあればどこへ行っても働ける。自分の持てるカードを増やす、選択肢を増やすということは、結果的に自分や周りの人を豊かにすることにつながります。それが「働く」ということだと思います。働くっていろいろな方向に向かって豊かにできる活動だと思いますね。

笹川:橋本さんは結婚して専業主婦になりたいと思っていたんですね。

橋本:そう思っていたのですが、今は仕事を辞めようとは思いませんし、気づいたら仕事が大好きになっていました。やはり受付の仕事が好きというのがきっかけで、「仕事」「働く」ということが、心を豊かにする意味も含めて素晴らしいことだなと思い、専業主婦になろうとは思わなくなりましたね。

働くことで得られるもの

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:では、働くことで得られるものは何でしょうか?

橋本:感謝と小さな幸せですね。「ありがとう」と言われることももちろんあるのですが、自分がありがとうと思うことのほうが圧倒的に多いです。それは受付をやっていた時も、起業してからも、ですね。基本は派遣でも正社員でも守られていると思うのですが、起業すると守る側になります。日々あたたかい布団で寝られるとか、ご飯が食べられるということが、原点に帰るととてもありがたいことだと感じます。

笹川:何気ないことでも、普通のことが当たり前じゃないんだということに気付かされますよね。

橋本:そうですね。あと起業してよかったことは、親が喜ぶことですね。自分の仕事ぶりって会社に来てもらえれば見えますが、親はうちの娘ってどんな仕事をしているのだろう、ということを話で聞いてイメージするしかないですよね。ですが、起業して例えばメディアに取り上げられると、遠くにいながら自分の子供がどんな仕事をしているのかを知ってもらえるので、起業してみてこういう良いことがあるのだなと思いました。

笹川:私も北海道で働いていた時に、北海道新聞に取り上げられたことがありました。親も喜んでくれたけれど親戚も喜んでくれて。橋本さんがおっしゃっていたように、起業すると普段こういう仕事をしているんだというのを親へ伝えられますね。

若者へのメッセージ

ディライテッド株式会社代表取締役CEO 橋本真里子

笹川:最後に、若い人たちへメッセージをお願いします。

橋本:余計なことは考えずに、今、目の前にある仕事と周りにいる人を大切にしてください。これから先「AIが当たり前になり、人の仕事がなくなる」と言われていますが、正直それがどうなるかはわかりません。自分たちにどういう影響を与えてくるかわからない中で、ああだこうだと考えていても仕方がないので、とにかく自分の目の前にある仕事をきっちりやることと、周りにいる人を大切にすることが重要ですね。どんなに環境が変わろうが、それは人にしかできないことだと思うので。頭でっかちにならずにいろいろなことに挑戦してほしいと思います。

笹川:そうですね。本当にシンプルに、目の前のことを一生懸命やることが成功への近道ですよね。橋本さん、本日はお忙しい中ありがとうございました!

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